私が最も印象に残った章は,土方巽さんの「舞踏」についてのチャプターである。この章で学んだことは大きく分けて二つある。

 まず一つ目は,どんな逆境においても,その状況を前向きに捉えることがいかに大切かということである。私は腰椎を部活中に損傷し,コルセットをしながらの部活をしている。病院で多分治らないだろうと言われた日は,どうしたらよいか分からずに,ずっと後悔していたことを覚えている。しかし,同じような病気を持ちながら部活動を続け,優秀な成績を残している人たちのことを知り,自分もとポジティブに考えるようにした。腰をかばうために,腹筋・背筋を鍛えられるのではという逆転の発想ができ,精神的安定につなげられたと思う。土方さんのように,重要な局面で怪我などの思わぬ事態が起こったときに気持ちをどう持つかでこれほど違う考え方ができるのか,と驚いた。これは頭の片隅にぜひ置いておきたいと思った。

 そして次に,アイデンティティーを認めるということの難しさだ。この章を読み終えたとき,確かに特色ある個性を持つ人々は人によく思われないという風潮があるなと感じた。今の世の中が画一化による効率を重視するあまり,人間関係の構築を特色あるものにする個性をおざなりにしてきてしまったのではないだろうか。これから大学・職場でも相手の個性や性格を理解し,尊重していくことで円滑な人付き合いをしていきたいと思う。

 自らの手で新しいダンスのスタイルである「舞踏」を作り上げた土方さんの言葉はとても重みがある。勉強としてでなく,人生論としてもこの文章は私にとって有益なものであったと考える。この文章から学んだことを少しでも生かしていこうと思う。